理想の経営者になれなかった私の強み
近藤大渡(ひろと)です。
私は和歌山でサロンワークをしながら、同じ「ひとり美容室」の方を対象に、理想のサロン・自由な働き方を目指す「ひとり美容室−Road to 1000−」をお伝えしています。
もともと人に何かをお伝えできるような知識や実績などはありませんでしたし、するつもりも全くありませんでしたが、
- 1ヶ月389万円(技術139万・店販250万)
- 客単価38,800円
- 店販購入者比率50%以上
のような成果から、友人や経営者さんからご相談いただく機会が増えるようになったり、ディーラーさんからコンサルやセミナーなどのご依頼をいただくようになったのがきっかけでした。
ひとりで経営していると、なかなか相談する相手もいなく、ひとりでずっと悩んでいた時期を僕自身経験したことから、
「ひとり美容室の可能性やひとりでも自由な働き方ができる」
ということをお伝えできればと思ったからです。
こういった活動をしている理由は実は他にもあります。
以前はスタッフがたくさん集まる大きなサロンを持ち、多店舗展開する夢がありましたが、ことごとく失敗に終わってしまいました。
お恥ずかしい過去ばかりですが、少しでも共感していただく部分があれば嬉しいです。
高校生で諦めてしまった“あること”
僕は和歌山で生まれ、育ちました。
近くに海や山があり、自然豊かな場所でのんびり育ててもらいました。
親の仕事の都合で、小学校の時と中学校に入る前に転校するという経験をしましたが、幸いいじめられることもなく、友達に誘われバスケ部に所属し、毎日楽しく過ごすことができました。
しかし、高校からは、
入学当時の成績は上位だったものの、どんどん勉強が分からなくなり授業はほぼ爆睡。
4時間目に寝て、起きたら昼休憩が終わり5時間目が始まっていた時はさすがに「ヤバイな」ってなりましたね。
唯一、高校でもバスケに熱中し、弱小チームでしたがクラブだけは楽しく毎日真面目に行っていました。
この時のメンバーとは今でも飲みに行ったりする良い仲間になりましたが、この頃は将来の夢もなく、何のために勉強しているのかも理解できず、17才という若さで勉強することを諦めてしまいました。
これが苦労する人生の始まりだったのかもしれません。
ホテルマンとして社会人デビュー
高校卒業後、すぐに美容学校に行った訳ではなく就職を選びました。
もともとカラオケボックスや飲食店などの接客業が好きだったので、たまたま就職欄にあった
「ホテルの仕事をしよう」
と、ほんと軽い気持ちで決めてしまったことが苦悩の始まりでした・・・
美容師の仕事もきついと思いますが、ホテルの仕事もなかなかハードで、朝7時からお昼12時まで仕事をして、また17時から22時まで仕事をするといった働き方で、
お昼から夕方までの休憩時間を「中抜け」と言って、その間一旦寮に戻って少し寝るんですけど、1日2回起きて仕事に行かないといけないことがほんとに辛かったですね。
でも、寝ないとしんどいし寝てもしんどいみたいな感じです。一方、上司は朝から晩までずっと働き続けていました。
仕事は楽しく、自分なりにですが頑張っている方かなと思っていましたが、なかなか評価されないことに不満を持ち始めました(会社員なので仕方ありませんが)
その頃から、
「このまま仕事だけの人生になりそう」
「頑張った分だけ評価してほしいな」
と思い始めた頃、僕が通っていた美容室の男性スタイリストさんに憧れ、相談に乗ってもらったところ、以前違う仕事から転職して美容師になったことを聞き、僕も独立が可能な美容の道に進もうと決断し、1年でホテルマンを退職しました。
憧れのカリスマ美容師
当時は、キムタクが主演のドラマ「ビューティフルライフ」の影響もあり、美容師ブームでしたね。
「僕もカリスマ美容師になりたい!」(ドラマの影響です笑)
と思い、大阪の美容室に就職することにしましたが、そう甘くはありませんでした。
朝6時に起床して、7時にはお店に行ってまずシャンプー台やその周りの掃除をひとりでするのが日課でした。
掃除が終わったらお店で朝ご飯を食べて、先輩方が出勤されて全体の掃除。
そしてお店がオープンすると同時に、まず先輩方のお昼ごはんを買いに行くというシステムがあったんですよ。
お昼ごはんに何を買ってくればいいのか、先輩1人1人に確認して買い出しに行くんですが、それがなかなか大変でした。(今もやっているのかな・・・)
たまたま2リットルのお茶やジュースが重なった時はものすごく重く、中には銀行のキャッシュカードと暗証番号の紙を渡され「銀行に行って3万おろしてきて」という先輩もいましたね(笑)
営業が終わるのがだいたい21時頃で、そこからレッスンをして、帰りはほぼ終電に間に合うようにダッシュといった15時間労働の生活に耐えられず、たった3ヶ月で退社してしまいました。
ほんとに何をしても続けられることができないダメダメ人間でした。
初体験
その後和歌山に戻りましたが、美容師は辞めずに地元の美容室に就職しました。
オープンしてすぐの、待合いが畳の部屋があるお店だったんですが、面接の際、以前の美容室のお給料を聞かれ(16万円)「それくらいは渡せるよ」と聞いていたものの、給料日に確認したら・・・11万円!?
これって詐欺ですよね?笑
また辞めようと考えましたが、オーナーがすごく良い人で、どんどん技術を経験させてもらえたり、勉強する機会もたくさん作ってくれたこともあり、
「目先のお給料よりも将来、自分のお店を持てるように頑張ろう」
と、すぐに退職せず続けることにしました。初めて持つことができた目標だったと思います。
自分のお店を持って、将来自由な生活を手に入れるために必死で頑張りました。こんなに継続できて努力したことも生まれて初めてだったと思います。
その後、5年間お世話になり、独立を認めてもらい退職することとなりました。
封印したい出来事
遂に、夢だった自分のお店をオープンします。
その頃は景気がよく、以前のお店で担当していたお客さんがたくさんご来店いただき、広告を出せばどんどん新規さんも来てくれる時代だったこともあり、順調に売上を伸ばしていきます。
その後、隣の店舗があいたので店舗を2倍の広さに増改築し、スタッフも4名まで増加しました。
2店舗、3店舗の夢に向かって順調に進んでいましたが、もしかしたらこの頃から自分の実力だけでここまできたと勘違いしていたのかもしれません。
それもあってなのか、少しずつ売上は減少…
一切経営の勉強をしていなかったのでどうすればいいのかも分からず、
「今月も20万おろしてこないと・・・」
売上だけでは支払いができず、貯金を切り崩さないといけない状況になっていました。
そして、さらに大変な事態が起こります。
あるスタッフから、
「今日ちょっとお話があるのでお時間いいですか?」
ほとんどの方は察しが付くと思いますが・・・しかし、これだけではありませんでした。
その後も1人、また1人、そしてさらに1人と・・・たった4ヶ月のあいだでスタッフ4名全員が退職する事態が起こってしまいました。
自分の無力さにほんと情けなく、悔しくて毎日帰って泣いていました。
もちろんこうなってしまったのは経営者(自分)の責任ですが、鬱になりそうなくらい悩みました。
「これから先どうしよう・・・」
と落ち込んでいたとき、家族や友人、お客さんからほんとにたくさんの励ましのお声や応援のお言葉をいただき、何とかメンタルを回復することができました。
その後、ある決断をします。
2名、入店を希望してくれている方がいらっしゃいましたが、丁重にお断りさせてもらい「ひとり美容室」として再スタートを切ることを決めました。
新たな再出発
セット面6席、シャンプー台3台の広いお店で、ひとり美容室として再出発します。2018年のことです。
5人から1人になってしまったので、とにかく失客をできる限り抑え、売上を少しでも落とさないように営業時間を伸ばし、休みを返上してとにかく必死に頑張りました。
しかし、ひとりでは限界でした・・・
多くのお客さんが失客してしまい、思っていたよりも売上が伸びず、体力も限界(体重が5キロ落ちました)ひとり美容室の限界を痛感しました。
今以上に売上を上げるためには、さらに働く時間を増やす方法しか思い付きませんでしたが、これ以上は体力も限界、新規を集客することも難しく、なかなかリピートに繋がらないのも悩みでしたね。
できるなら値上げしたいけれど、もし失客したら・・・この時はもうどうすればいいのか分からなくなってしまっていました。
たくさんの時間やお金を使って美容学校に行き、国家資格まで取って、講習やウィッグ、ハサミにも投資をし、借金を背負ってお店を出したものの、ホテルマンの時に感じていた、
「このまま仕事だけの人生になりそうでヤバイ」
「頑張った分だけ評価してほしいな」
という問題は、独立しても解決できず、このままのやり方を続けても抜け出せないだろうと感じ始めていました。
今思えば自分が望んでいる理想の働き方とは真逆に進んでしまっていました。
そこで、自分が理想としている働き方ってどういう状況なのかを改めて考えてみたんですね。それは、
「自分が望む収益を得られること」
「働く日(時間)を自由に決められること」
仕事に追われず、自分がしたいことができて、家族と好きな時に旅行に行けるなど「余裕のある働き方」ができるようになりたいことに改めて気づき、もう一度本気で目指そうと決めました。
それを実現するためには、
- 「技術と店販」で高単価が実現する仕組みを作る
- お客さんにファンになってもらう
- 予約を取り合ってもらう状況にする
「他店よりも価格は高いけれどそれでも行きたい!」
「ここじゃないと!」
と価値を感じてもらい、リピートのお客さんどうしで予約を取り合ってもらえる「ファン客」を作ることができれば、失客が減って先の予約もいっぱいになり、自分の理想を実現できるのではないかと考えました。
そこで経営を見直すために、経営塾や個別コンサル、オンライン講座にも多数申し込み、コピーライティングやマーケティング、集客や経営学など全て1から勉強することにしました。
なぜ、今になって勉強を始めようと思ったのかというと独立から10年間、ずっと自己流でやってきた結果だったからです。
経営のスキルや集客の知識もなく「勘」だけでやってきた結果、気づけば10年も経っていたので、1日でも早く理想の働き方を実現するために、将来の貯蓄よりもまず勉強への投資を優先しました。
そこでまず力を入れたのが「客単価アップと店販」でした。
働く時間を増やさず、すぐに売上アップが可能という点は、ひとり美容室ではこれから先ずっと強い武器になり、自分が理想としている働き方には必須だったからです。
一度仕組みを作ってしまえば、毎年決まった売上が安定する点は大きなメリットでした。
もともと店販は大嫌いで、月に4〜5万円くらいの売上だったのが「無理に売らずに売れてしまう店販」を仕組み化したことで毎年400万円の売上を安定することに成功しました。
さらに、店販の効果によってお客さんの美意識が向上し、技術売上や単価、リピート率までもアップするといった効果にも繋がったのにはビックリしました。
その後も、単価やリピート率アップ、理想の顧客を集める集客の施策などにより、お店がさらに変化することができ、これくらいの時期から「全ては仕組み作りによって決まる」ということに気付くことになります。
ひとり美容室の仕組み化
もともとはバリバリの職人気質で、
「良い技術、似合うスタイルを提供していれば自然とお客さんが増えてくる」
と考えていた時期もあり「仕組み作り」という言葉には全く関心がありませんでしたが、「仕組み化」してからはお店に大きな変化が起きるようになります。
- すでにファンになってくれているお客さんが来店される
- 無理に販売しなくても店販が勝手に売れる
- 平均客単価 ¥6,000から¥20,000に増える(最高¥38,800)
- 集客コスト3年間0円で、新規問い合わせが毎月くる
- 新規客単価 ¥40,000を超える
- リピートのお客さんで1ヶ月分の予約が1日で埋まることも
- 新規のご予約をお受けできなくなる
以前は、とにかく予約を埋めるために割引きをして集客するようにしていましたが、最初からファンになってくれているお客さんを集客し、無理に勧めなくても技術・店販が自然に売れ、無理なく高単価になる仕組みを作ることに集中しました。
それが僕が目指す、
「働く時間を減らしながら収益を増やすことができる、ひとり美容室の理想の働き方」
だと思ったからです。
具体的には、
- どのような顧客を獲得していくのか
- どのようなメニュー、価格設定が最適か
- 長くリピートしてもらうためにはどうするべきなのか
- どのようにして商品(サービス)の魅力を伝えるのか
- 理想の顧客をどのように集めるのか
など、お客さんに「選ばれ続ける仕組み」を作ることで急成長することができました。
変化した働き方
「仕組み化」によってお店の経営状況は大きく変化し、今まで経験したことがないさまざまな体験をさせていただきました。
現在、月の半分まで営業日数を減らし、自分の好きなことをしたり家族との時間に使ったり、コンサルやセミナーなどお仕事のご依頼をお受けすることもできるようになり、自由な働き方が実現できています。
お客さんからの喜びのお声
1〜2ヶ月先までの予約状況
毎年予約される店販商品
ディーラーさんからご依頼いただきセミナーを開催
家族との時間
大好きなハワイでカウントダウン花火
ありがたいことに、自分のサロンでの経験や実績をたくさんのサロンさんの前でお話させていただく機会も増えました。
さらに、お取引2000サロンの美容ディーラー「カトレア」さんからご依頼いただき、店販プロジェクトチームのリーダーに任命いただくなど、貴重な経験をさせていただいています。
仕事は好きですが、家族との時間も増やすようにしています。
特に旅行が好きです。(コロナ禍では一切行けませんでしたが)
子供が3人いるので、楽しいのと同じくらい疲れますけどね(男の子3人です)
もともと運動が好きでずっと筋トレを続けていましたが、カット中、腰を痛めてしまい筋トレができなくなってしまったので、最近は美味しいものを食べながらお酒を飲むのが好きになりました。そのおかげでお腹が気になりますが(笑)
定期的にお互いの両親を食事に招待し、みんなでワイワイするのも好きです。
最初で最後になるかもしれませんが、両親をハワイに連れて行って親孝行したいですね。
たいしたことはできていませんが、ホテルマンの頃や独立当初の自分と比べて自由な働き方が手に入り、時間やお金、何より心に余裕ができのが一番嬉しいことだと思います。
ひとり美容室の可能性
今美容業界は個人店が乱立し、低価格サロンもドンドン増え、価格競争の激化は今後さらに厳しくなると思います。
自由が手に入ると思い美容師になり、自分の美容室を開業したものの、
・思うように売上が上がらない
・リピーターが増えない
・店販商品が売れない
・仕事量に比べて利益に繋がらない
・働く時間(日数)を減らせられない
なかなか思い描いていた成果に繋がらないという経験を嫌というほどしましたし、同じように悩みを抱えているひとり経営者さんもたくさんいらっしゃると思います。
同じひとりサロンとして、痛いほど気持ちが分かります。
ただ、これだけたくさんの美容室がある中で、
「複数の美容師(アシスタント)と対応する」
「ひとりで最初から最後まで対応する」
これは全く状況や価値が変わるので、他のサロンとひとりサロンを価格だけで比べられるのはおかしいと感じています。
僕は自分を安売りするのも、お客さんに気を使いすぎるのも、支払い(生活)のために無理して働かないといけない状況も、自分で休みを決められないことも全て嫌でした。
特に上からの態度のお客さんは苦手で、そう感じたら「現在新規のお客さんはお取りしていないんですよ」と言って予約を取らないようにするほどです。
たとえ「10万払うから」と言われても施術したくありません。僕はわがまま美容師だと思います。
ただ、このような選択ができるようになったのは、
- 「技術」「店販」が売れてしまう高単価の仕組み
- ファン客が増えるリピートの仕組み
- 理想の顧客が集まる集客の仕組み
など、選ばれ続ける仕組みを作ることができたおかげだと思っています。
特に「ひとり美容室」は、自分が納得する料金をいただき、気の合うお客さんに精一杯の技術を提供して喜んでもらい、その結果、理想の収入や休みを自分で自由に決めやすい環境ではないかと感じています。
今はスタッフを増やしたり会社を大きくするつもりもありませんし、そのような能力もない、いたって普通の美容師ですがただ、
「自分が理想とするサロン」
「売上や利益だけではなく、自分に合った働き方を選ぶことができる環境」
など、リスクを背負い独立したからこそ、自由に生きるためにこれだけは譲れなかったんですね。
高単価の仕組み化で売上を生み、理想とする顧客を集客し、心身ともに余裕のある理想のサロン・自由な働き方を自分の力で実現する。
これを一緒に目指すサービスが「ひとり美容室−Road to 1000−」です。
- 理想の売上(利益)を目指す
- 営業時間を減らして体を休める
- 休みを増やして好きなことをする
そういった自由な働き方が選択できるひとり美容室が増えてほしいと思っています。
最後に
僕自身、自分の理想の働き方を実現するのに「20年」かかりました。
もともと全く勉強してこなかった自分が悪いのですが、学びに数百万円以上もの投資をしたことでようやく考え方や意識・行動を変えることができましたが、これだけ美容室が増えてしまうと、これからも学び続けていかないと取り残されてしまうという危機感は常に持つようにしています。
自由や理想を求めて開業したにもかかわらず、ひとりでは実現できない方のために「ひとり美容室−Road to 1000−」を作りました。
現在も、月の半分は現場でサロンワークをしていますので、多くの方に参加いただこうとは考えていませんし、僕ひとりでマンツーマンサポートをさせていただくこともあって、参加価格は安くありません。
ただ、理想のサロン・自由な働き方を本気で目指したいと思う方には、ひとり美容室の可能性やひとりでも自由な働き方が実現できているノウハウや具体的な方法をなど全てお伝えさせていただいています。
そして、こういった活動をしているもう一つの理由が、理想のサロン・自由な働き方を手に入れた「イケてるひとり美容室」が増えてほしいと考えています。
美容業界を変える力なんて1mmもありませんが、一人でも理想を実現し、そんな同じ環境で頑張っているメンバーで集まって語ったりお酒を飲んだり、いつか、例えばハワイとかで集まることができたら楽しいやろな〜。なんて個人的な夢を抱いています。
今後もコロナの影響や若手の美容師不足により、これからもっとひとり美容室が増えてくるだろうと思っていますが、そんな中でもお客さんに選ばれ続けるサロン作りが大事だと思っています。
一人でも多くのひとり美容室の方が活躍し、自分自身が理想とする働き方やサロンを実現することを願っています。
長文にもかかわらず、最後まで読んでいただきありがとうございました。